新年のご挨拶
一般社団法人日本空調衛生工事業協会
会長 藤澤 一郎
新年あけましておめでとうございます。
令和5年の年頭に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
先ず昨年1年間を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の流行も3年目となり、相変わらず感染者数の増加と減少を繰り返す中、これまでのような感染拡大防止のための行動制限は行われず、コロナ禍で痛手を負った旅行業や飲食店に対する支援も始まり、経済再生に向けた取組が進みつつあります。一方、全世界に衝撃が走ったロシアのウクライナへの軍事侵攻も、未だ終結の動きはなく長期化の様相を示しているほか、我が国周辺では、中台の対立、北朝鮮のミサイル発射など近年になく国際情勢が緊迫した1年でありました。このような状況下開催された2月の北京のオリンピック、パラリンピック冬季競技大会でのメダル獲得、11月のFIFAワールドカップ カタール2022でのグループステージ突破と、日本選手の国際舞台での目覚ましい活躍に大いに盛り上がったのも記憶に新しいところです。
さて、建設業の状況ですが、旺盛な民間需要に支えられ総じて受注は堅調なものの、一昨年来の原油価格の上昇、物流の停滞、半導体不足に加えて、昨年当初からの急激な円安の進行による資機材価格の高騰、納期の遅延により、各社とも工事採算の確保に苦心しているという状況ではないでしょうか。円安や原油価格は最近やや落ち着きを見せておりますが、物価上昇は続いており現在のような水準は当分継続するのではないかと危惧しております。
こうした中、令和6年には、働き方改革の柱である改正労働基準法による時間外労働の罰則付き上限規制が建設業に適用されます。日空衛では、5年間の猶予期間中の基準達成に向けた行動計画を策定し、会員各社が生産性の向上、業務の見直しなど様々な取り組みを行ってきました。しかしながら、会員へのアンケート調査では、時間外労働、休日取得とも改善は見られるものの、目標達成には至っておりません。残されたこの1年が正に正念場です。このまま来年4月を迎えた場合、最終的には施工対応が困難な局面も想定され、社会的、経済的に大きな損失につながる可能性も懸念されます。もちろん、この問題は、設備工事業だけで解決できる問題ではありません。発注者だけでなく、元請のゼネコンの協力も必要です。日空衛としても、これらの団体への働きかけを引き続き行ってまいりたいと思いますが、会員各社のより一層の取組を期待するところでもあります。
昨年は、日空衛の全国会議も3年ぶりに開催され、また、各支部の活動も順調に行われ、地方の会員の皆様の意見を直接聞く機会を多く持つことができました。その中で感じたこととしましては、担い手不足や公共団体の直接(分離)発注に対する危機感が地方ほど大きいということであります。日空衛では、平成27年に、空調衛生工事業のあるべき姿として、「日空衛2015−新たな中期ビジョン−」を策定し、進めてまいりましたが、この10年間の業界を取り巻く社会・経済環境の変化を踏まえ、新たな中期ビジョン「日空衛2025」(仮称)の検討に今年から着手することとしております。その中では、このような地方の会員の皆様の意見もできるだけ反映させていきたいと考えております。
最後に、昨年中は、協会運営に当たりまして、副会長、理事、監事、諮問委員を始め、会員各社、各団体の皆様のご理解、ご協力を賜り心から感謝申し上げます。
昨年5月の総会後に、第40期の期中ではありましたが、長谷川前会長の退任によりその後任として会長に就任し、半年余りが過ぎました。本年は、第41期を迎えることとなります。日空衛としては、新たな中期ビジョンの検討だけでなく、時々の課題に的確に対応するとともに、業界の将来を見据えた活動を推進してまいりたいと考えております。本年も業界発展のため、会員の皆様と一丸となって取り組んでまいりますので、引き続き、会員各位の積極的なご参加、ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。
会員の皆様のご健勝とご多幸をご祈念申し上げ、年頭の挨拶といたします。
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